PPPとは?メリット・デメリットや仕組み、使用例を解説

大手電機メーカー系のSierに入社後、インフラエンジニアとしてLinuxサーバーの構築や保守・運用、ソフトウェアの開発業務を経験。アイティベル入社後は、IT領域の執筆などを行う。


昨今のサイバー攻撃の増加に伴い、企業ではネットワークの安全性・信頼性がますます重視されています。通信プロトコルの一つであるPPP(Point-to-Point Protocol)は、データの安全な伝送や信頼性の高い接続を実現するために重要な役割を果たします。

PPPを実装する際は、まずはPPPのメリット・デメリットや仕組みを理解しなければなりません。本記事では、PPPのメリット・デメリットや仕組み、使用例について解説します。

目次

1. PPPとは

PPP (Point-to-Point Protocol) とは、1対1でデータ通信を行うためのプロトコルのことです。PPPは、OSI参照モデルのデータリンク層で動作します。PPPには認証やエラーチェック、圧縮などの機能が搭載されており、安全性が高い通信を実現できます。

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2. PPPのメリット・デメリット

PPPは多くの企業で使われていますが、具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。ここでは、PPPのメリット・デメリットを解説します。

PPPのメリット

PPPの主なメリットは下記の3つです。

さまざまなネットワーク環境で利用できる

PPPは、IPやIPXなど異なるネットワークプロトコルに対応しているため、さまざまなネットワーク環境で利用できます。異なるネットワークプロトコルを使用している場合においても、PPPを使えば同じ方式で通信することが可能です。

機密性の高いデータを保護できる

PPPは、PAPやCHAPなどの認証機能を搭載しているため、接続するユーザーやデバイスの正当性も確認できます。機密性の高いデータを保護することが可能です。

信頼性の高い通信を実現できる

PPPにはエラー検出や修正機能なども搭載されています。通信時にエラーが発生した際も、データの損失や破損を防ぎ、信頼性の高い通信を確保できます。

PPPのデメリット

PPPの主なデメリットは下記の2つです。

設定が複雑になりやすい

PPPは複数のプロトコルが絡むため、適切に設定するには高度なネットワーク知識が必要です。誤った設定や認証手順のミスにより、接続が失敗したり、セキュリティに問題が生じたりする可能性があります。

現代のネットワーク環境への適応性が懸念されている

PPPは、シリアル接続などの比較的古いネットワーク技術で設計されています。現代の高速なブロードバンドやWi-Fi技術には適していない点もデメリットです。

3. PPPの仕組み

ここでは、PPPの主要なコンポーネントやプロトコル、認証の流れなどについて詳しく解説します。

PPPの主要なコンポーネント

PPPは、主に以下の3つのコンポーネントで構成されています。

LCP(Link Control Protocol)

LCPでは、PPP接続の初期段階でリンクの設定を実施します。リンクが確立された後は、リンクの状態を監視します。

HDLCフレーム(High-Level Data Link Control Frame)

HDLCフレームでは、データの分割やエラー検出、アドレス指定などを実施することが可能です。

NCP(Network Control Protocol)

NCPでは、PPPリンク上で使用するIPやIPXなどのプロトコルを管理することが可能です。

PPPで使われている認証プロトコル

PPPは、ネットワークにアクセスするクライアントの認証を行い、不正アクセスを防止します。使われている認証プロトコルは、下記の2つです。

PAP(Password Authentication Protocol)

PAPとは、ユーザー名とパスワードを送信するシンプルな認証方式のことです。実装しやすいのが特徴ですが、パスワードが暗号化されないためセキュリティは低くなります。

CHAP(Challenge Handshake Authentication Protocol)

CHAPとは、チャレンジ・レスポンス方式を用いた認証プロトコルのことです。CHAPはパスワードを送信せずに認証できるため、PAPよりもセキュリティレベルは高くなります。

PPPの認証プロセス

PPPは下記の流れで認証を進めます。

  1. リンクの確立(LCPを使用)
  2. 認証の実行(PAPやCHAPを使用)
  3. ネットワーク層の設定(NCPによってネットワーク接続に必要な情報を設定できる)
  4. データ通信の開始
  5. リンクの終了

4. PPPの使用例

ここでは、PPPの使用例を3つ紹介します。

ダイヤルアップ接続

ダイヤルアップ接続とは、電話回線を使ってインターネットに接続する方式のことです。ダイヤルアップ接続は電話回線とモデムがあればインターネットに接続できるため、家庭や小規模オフィスなどで広く使われていました。1990年代から2000年代初頭にかけて利用されていた方式であり、現在はあまり使われていません。

VPN接続

PPPは、VPN接続でも利用されています。VPN(Virtual Private Network)とは、リモートから企業のネットワークに安全にアクセスできる技術のことです。PPPは、PPTP(Point-to-Point Tunneling Protocol)などのVPNプロトコルの基盤として使用されています。

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シリアル接続

シリアル接続とは、コンピュータやネットワーク機器同士をシリアルケーブルで直接接続する通信方式のことです。ルーターやサーバー、モデムなどの機器間でPPPを利用し、データ通信を行います。

5. PPPの現状

PPPはブロードバンド接続の普及に伴い、以前より役割が縮小しています。現在は、リモートアクセスなどの特定の用途で利用されています。しかし、近年ではセキュリティ上の脆弱性が指摘されており、PPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet)やIPv6 over PPPなどの需要が高まっているのが現状です。

PPPoEとは、イーサネットネットワーク上でPPPを使用可能にするプロトコルのことです。IPv6 over PPPとは、IPv6アドレス空間をPPPで使用可能にするプロトコルのことを指します。ブロードバンド接続や最新のIPアドレス規格に関しては、これらの新しいプロトコルが使われています。

まとめ

今回は、PPPのメリット・デメリットや仕組み、使用例について解説しました。PPPのメリット・デメリットは下記のとおりです。

【メリット】

  • さまざまなネットワーク環境で利用できる
  • 機密性の高いデータを保護できる
  • 信頼性の高い通信を実現できる

【デメリット】

  • 設定が複雑になりやすい
  • 現代のネットワーク環境への適応性が懸念されている

PPPは、VPN接続などのリモートアクセスでよく使われていますが、セキュリティ上の脆弱性が懸念されています。そのため、現代ではPPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet)やIPv6 over PPPなどの新しいプロトコルの需要が高くなっています。目的や用途に応じて適切なプロトコルを実装すると良いでしょう。

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